会長挨拶

 このたび、第14回日本骨粗鬆症学会 骨ドック・健診分科会を2012年9月27日〜29日の
3日間、新潟市 朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターにて開催させていただきます。
 高齢者社会の日本では骨粗鬆症患者はおよそ1,000万から1,300万人と推定されております。骨粗鬆症は骨が脆弱で骨折をきたし、個人レベル、家族レベル、社会レベルにおいて大きな影響を及ぼしております。すなわち
1 )骨折はADL、QOLを低下させ、寝たきりにいたる例もあり、生命予後も不良です。
2 )医療面、社会面、および家庭内において大きな負担(負荷)です。
3 )なかでも大腿骨近位部骨折はもっとも重篤で、日本全体で1年間に12-16万骨折(厚労
  省研究班)が発生すると推定されております。骨折の転帰として死亡率は高く、寝た
  きりに至る例も多く、まさに重篤な転帰といえます。

 さて骨粗鬆症性骨折数、骨折発生率は経年的にどのように推移しているのでしょうか、欧米では減少に転じているとの報告もあります。一方、日本では現在までのところ、大腿骨近位部骨折は増加しており、いまだ減少しているとの報告はありません。その要因は何でしょうか。理由の一つとして治療率の低さがあります。大腿骨近位部骨折例、脊椎椎体骨折例ではいずれも骨粗鬆症の治療率は極めて低く、4─10%程度です。いかに優れた骨粗鬆症薬、強力な骨折抑制効果を有する薬剤があったとしても骨折危険性の高い高齢者のところまで届いていなければ、または継続して服用されていなければ、骨折予防効果を発揮することはできません。骨折リスク者への積極的で継続的な骨粗鬆症治療を推進する必要があります。
 また現在の大腿骨近位部骨折症例は骨折以外に、心不全、腎不全、脳血管障害、認知症など多くの基礎疾患を有しております。どのように対応すればよいのか、骨折後地域、在宅へと円滑に進めるにはどうすればよいのでしょうか。基礎疾患があり、足腰が弱っているため、自宅での生活ができない例もよく経験するようになりました。骨折にとどまらず、患者さんを包括的総合的に診て対応し、地域でのケア、在宅で骨粗鬆症高齢者の生活を維持する必要があります。そのためには急性期病院の医師(おもに手術を担当)、回復期病院の医師、スタッフ、さらには地域における診療所の医師・スタッフ、介護・福祉関係者、行政の方々の密なる連携が必要です。骨粗鬆症患者さんをケアし、サポートする看護師・医療・介護スタッフの充実も望まれます。まさに多領域の医療スタッフ、多職種の連携と総力をあげての取り組みが今後の高齢者日本、骨粗鬆症高齢者対策では不可欠です。現在、求められているのは一回起こした骨折者を次に再び骨折をおこすことのないように「骨折連鎖を断つ」ための対策をとることです。

 以上のような現状と将来目標をめざして9月の新潟で大いに議論を重ねたいと思っております。本学会のテーマは「骨折連鎖を断つ」です。 多くの方のご参加をお願いいたします。